武装解除

伊勢崎賢治武装解除』、講談社現代新書、2004

紛争地域における武装解除の問題を著者のこれまでの体験に基づいてとりあげた本。東チモールシエラレオネアフガニスタンの三つの地域で、著者が国連スタッフまたは日本政府スタッフとして参加した武装解除事業が具体的に記述されていて、そういう意味で非常に説得的な内容がある。著者は現在は大学の教職にあるが、基本的には実務の人なので、武装解除の手順、武装勢力との間に起こる摩擦、国連や関係国政府との間の問題、中立性などの個々のトピックが、生き生きと説明されていて理解しやすい。

しかしこういう紛争の現場で官僚出身ではない人が活躍するということは、相当アクの強い人でないと務まらないのだろう。著者の価値観とか文章の独特のくさみには辟易させられる。まあ、内容は勉強になったからいいけれど。