検証 非核の選択

杉田弘毅『検証 非核の選択』、岩波書店、2005

日本を中心にこれまで、核武装あるいは核武装政策の放棄の決定が各国でどのようになされてきたのかを検討した本。第二次大戦中の日本の原爆開発小史から最近の核拡散、拡散対抗にいたるまで、さまざまな国の事例が取り上げられているので、そのあたりの事情についてはある程度参考になる。

しかし特に日本での核武装政策の検討についての部分や政策的な提言をしている部分については、どうも著者の個人的な価値観の部分と政策に対する分析が混同されていて、きちんとした議論になっていないように感じる。不拡散と拡散対抗のそれぞれの議論の有効性に対する評価もツメが甘い。客観的な分析といいつつ、日本によくある核アレルギーに引きずられた議論になってしまっているのは残念。