世界の汚職 日本の汚職

石井陽一『世界の汚職 日本の汚職』、平凡社新書、2003

著者はもとJICA職員で、ラテンアメリカを主なフィールドにしており、当地での汚職の実態には詳しい。それにしても、まあどこの国でもここまでやるかというくらい汚職はやっている。北欧などのごく一部を例外として、西欧でもフランスやドイツでは首相や大統領がからむような重大な疑獄事件は途中で捜査が中止されているのだ。まあさすがにアフリカやラテンアメリカのひどさと比べるわけにはいかないが・・・。

著者のいっていることにはちょっとおかしなものもあるが(選挙費用の削減とか、汚職にクリーンな国の国際競争力が高いとか)、官庁会計制度の改革や内部告発者の保護については聞くべき点があると思う。

汚職について大規模な国際比較調査が行われ、各国の汚職のレベルが指数化されているというのは初めて知った。他にも地下経済との関係や個人レベルと組織レベルの汚職のパターンの違いなど、いろいろな視点から目配りがされていて、問題の俯瞰に役立つ。