韓国人はこう考えている

小針進『韓国人はこう考えている』、新潮新書、2004

タイトルは「韓国人の対外認識」とでもした方がよい。内容は対外意識の問題に集中しているから。日本に対する意識はいろいろなところで論じられているので目新しい発見はなかったが、対米、対北朝鮮関係についてはいろいろとおもしろいことが書いてあった。

対米意識の悪化は装甲車による中学生の事故死以後に起こっていることなのかと思っていたが、それは単なるきっかけにすぎず、もっと前から起こっていることのようだ。冷戦終結以来ゆっくり進んでいた現象が噴出したのにすぎないらしい。

北朝鮮に対する意識も金大中政権以後に急に変わったわけではなく、軍事政権による情報統制が取れて、北朝鮮の実情が明らかになり、脅威感が消えていったということのようだ。北に対する意識の変化はすでに盧泰愚政権からはじまっていたとのこと。黒田勝弘などがいうように、これを北朝鮮に対する心理的武装解除というかどうかは微妙なところだが。ということは、次の大統領選挙でハンナラ党の候補が当選したとしても、韓国の北朝鮮政策は根本的なところでは変わらないのかもしれない。