松田洋子『
赤い文化住宅の初子』、
太田出版、2003
作者のマンガで初めて読んだ「泣かせもの」。しかしこれはほんとうに泣ける。いつもの作者の毒々しさに慣れていたので、思わずやられたという感じ。この貧乏と薄幸は80年代以降に生まれた人には描けない。ちょっと作風は違うが、
西原理恵子の「はれた日は学校をやすんで」を思い出す。
同時収録の「PAINT IT BLUE」は泣かせる話ではないが、シンナーにうつつを抜かす工場労働者の生活のお話。これも妙なリアリティがあって読ませる。作者はなんでもっとシリアスものを描かないのか?やっぱりあまり切実さがキツイと受けないのだろうか。