羊をめぐる冒険

村上春樹羊をめぐる冒険』、講談社、1982

これは面白かった。「風の歌を聴け」が、どこがおもしろいのかさっぱりわからなかったのがウソのよう。1980年代作品集のこの後の巻を読むのがとてもたのしみになってきた。へんな羊が血瘤を通じて「宿主」の中に入り込んであやつるというアイディアは、ちょっと違うが「海辺のカフカ」に通じるものがあるかも。キャラクターも、主人公の「僕」、黒服の秘書、運転手、鼠=羊男ほか、いい味出しまくっている。エピローグの静かな終わらせ方もいい。