地球温暖化の政治学

竹内敬二『地球温暖化政治学』、朝日新聞社、1998

京都議定書調印までの、地球温暖化問題の交渉過程をまとめた本。著者は朝日新聞の記者としてこの問題を継続的にフォローしてきた人なので、交渉の節目節目での各国政府やNGOの動きが丹念に生き生きと描写されている。類書は多いが、交渉過程を全体的に俯瞰した本としては非常によくまとまっている部類に入るだろう。

科学者集団と政治のかかわり、問題が漸進的というよりは細かく前進と後退を繰り返しながら進んでいくプロセス、日本とアメリカの国内の政治過程(アメリカのほうはもうちょっと細かく書いてもらいたかったが)といった問題について、非常に参考になった。アメリカが途上国の参加にいかに執着していたか、7%削減という数字がいかに「腰だめ」のものだったかを見ると、ブッシュ政権が議定書の批准を拒否した問題にも示唆を与えてくれる。