電車男

中野独人電車男』、新潮社、2004

ということで、映画がそこそこ楽しめたので、ブックオフで本を手にいれて読んでみた。やっぱりこっちのほうが映画より数段いい。テレビドラマの方はみていないけど、この話を映画やテレビにしようとすると、やっぱりムリな盛り上げ方をしないと間が持たなくなる(映画では、エルメスが一旦電車から離れるところ)。そんなことをしなくても、すなおに電車の書き込みを追っていくだけで、十分ストーリーになっているし、読み手の頭の中ではそれで盛り上がれる。まあ、内容はドラマチックなところなど何もない恋愛話だけど、映画のところでも書いたように、このドラマ性は、電車と2ちゃんねらーのやりとりの中から生まれているものだから。

ところで、まぬけなことに本を買ってから気がついたが、原著作権者が不特定多数の電車男の内容がネット上にないわけがなかった。ちょっと検索をかければ、ログは出てきたし、しかも編集された内容から一言一句、本とすべて同じ。というか本は編集された保存ログの内容を紙に落としただけ。これで1300円。買って来たものは初刷りから2ヶ月もたっていないのに12刷。印税はどうなってるのか、と思って調べてみたら、映像化その他の2次使用料は、中越地震の被災者に寄付されたとのこと。しかし単行本の印税は結局どうなったか定かでないようす(新潮社は印税の支払い先を公表していないらしい)。世の中いい話もいい話だけでは終わらないということか。