環境政治入門

松下和夫『環境政治入門』、平凡社新書、2000

環境問題をめぐる政治について、特に日米両国の過程を比較することに焦点をあてた本。著者は環境庁出身で長年この問題についての実務に携わっていた人なので、そこからの視点も加味されて読みやすい、まとまった本になっている。

アメリカと日本の環境政治の展開をざっとまとめてあるので、環境問題が両国でどういう過程をたどって争点化されたかがおおよそわかるようになっている。その上で両国の環境政治を比較しているのだが、結論としては両国におけるライフスタイルの差で問題を説明しようとしている。ありきたりな結論だが、結局妥当な線なのだろう。

最初の章をガバナンスの説明から始め、環境問題におけるさまざまな主体の協力関係に焦点をあてている点はいいが、逆にどういう問題でなぜ協力がむずかしいかということの説明にも、より関心を払ってほしかった。