太宰治『鴎』


1940年に書かれた短編。小説だが、半ばはエッセイのようでもある。ほとんど自分語り。兵隊さんの書いた小説とか、酒のこと、飲み屋のこと、いろいろ材料はちりばめてあるが、ほとんどは、周りに乗り切れない自分のこと。

だいたい「芸術家」としての自分と、そういう自意識に対する自分自身の恥ずかしさのこと。あとは文豪になりたい、エラくなりたいという欲。これはいつも変わらない。