貨幣

太宰治『貨幣』


お金ネタ、戦時中ネタの短編。語り手は「百円札」で、いろんなところを回っていくという設定。この設定、昔子供の頃に読んだ小説に出てきたと思ったが、こちらの方がどう考えても先にかかれている。

百円札が回り回って、闇屋と大尉殿の間でやりとりされる。大尉殿、口調がやたらと田舎くさいのだが、変じゃないのか。まあ、全部の大尉が士官学校出というわけでもないだろうから、それはいいか。

しかし最後がちょっといい話になっているのは惜しい。内容からして、戦後間もない時期に書かれた作品なので、殺伐とした世の中では心温まるお話が受けたのかもしれない。