禁酒の心
太宰治『禁酒の心』
これはエッセイ。酒にかこつけて、やはり自分の戯画。
もちろん禁酒など実際にはしていないので、とにかく毎日酒をのみたいばかり。酒を求めて行列する(このエッセイは戦争直前のもの)のが嫌なのだが、もっと嫌なのは、飲み屋のやりとり。
何より嫌なのは、客が店主に媚びているところ、料理に食いついているところ。飲み屋だから、料理を楽しみに来るのはあたりまえだが、そこで店主に媚を売っている(ようにみえる)のが嫌だということ。金がない(?)ので、料理の注文を遠慮するのも嫌だとみえる。
これも要するに、自分が飲み屋でそういう態度を取っていることが恥ずかしいということ。いちいち飲み屋で料理を注文するところまで気になっていると本当に気鬱になってしまうと思うが。