原爆を見た建物

山下和也、井出三千男、叶真幹『原爆を見た建物』西田書店、2006


原爆投下時にあった広島の建物図鑑のような本。この本の定義では、被爆建物とは、爆心地から半径5キロ以内でなんらかの形で残った建物のこと。

原爆ドームはともかくとして、他にどういう建物が原爆投下時にあったのかは、個別にはわかることもあるが、まとめているものをあまり見ないので、この本は便利。地域別に、残っている建物(一部だけ残ったとか、残骸を利用して改築したものも含む)を場所や写真を入れて、示している。

メジャーな建物には、建築家の名前や、建物の旧名、竣工年、工法などが書かれている。建物の外壁が残っているのは、RC造で、爆心地から2キロくらい離れたもの。原爆ドームは、爆風の加減でたまたま残ったもの。

はっきり言って、著者の原爆原爆というセンチメンタリズムが鼻について困るが、それを別として資料価値は高い。