神代史の研究法

津田左右吉『神代史の研究法』


古事記日本書紀に出てくる神代の記述をどのように理解すればいいのか、ということについての津田左右吉の小文。

まず、神代の出来事を、具体的な実物に比定することをやめろという。それは、現代の合理的な考え方をそのまま過去に投影しているだけ。過去のことを理解するには役に立たない。それは浅い合理主義。

かといって、本居宣長のように「書いてあることはそのまま事実」というのもおかしい。海の底に人間は住めない。神話と事実は別。津田左右吉によれば、人の思想は文化の発達によって変わる、またその次代の風習や社会環境によってつくられる、さらに詩的想像を反映している。だから、神代のことは、昔の社会を知ることによって、明らかにされなければならないといっている。卓見だと思う。