クラシック音楽とは何か

岡田暁生クラシック音楽とは何か』小学館、2017


「クラシックプレミアム」誌の連載をまとめたもので、エッセイのような形態をとっているが、ある程度この分野を知っている人が読んでさらに知識を深めるための本。

全体として、「クラシック音楽」の歴史を、それ以前とそれ以後を含めてまとめて、その内容を解剖するというような体の本。古典派からロマン派までがクラシックだが、実際20世紀も半ばになるとクラシックの時代も終わり、その後はそれまでクラシック音楽が担っていた役割は一部がポップスに移行し、後は映画音楽とかバラバラな分野に分かれて、そのひとかけらだけが「現代音楽」になるので、ファンは昔の音楽に取り付くしかなくなってしまう。

クラシック音楽」がいつから、どのような形で出てきたのか、地域性、オペラとの関連、19世紀での聴衆や演奏形態との結びつき、バッハ、モーツァルトベートーヴェンらの巨匠とのつながりなど、演奏だけ聞いていたのではわからないことがたくさん書いてあり、音楽学者は、ただの考古学者ではないと考えさせられる。

音楽は現場に行って聞かなければわからないもの。日本にいても、わからないものはわからないので、本の知識は有用。