実録・レイシストをしばき隊

野間易通『実録・レイシストをしばき隊』河出書房新社、2018


しばき隊当事者による、記録。この人やこの団体はあまり好きではなく、個人的な付き合いもない。別に桜井誠に付き合いがあるわけでもない。その部分はどうでもよい。

したがって、第1部の在特会対しばき隊の戦争部分は、資料的な価値はあると思うのだが、あまり興味はひかれない。あえていえば、しばき隊側は、準備し、作戦を立てて行動していたことがわかるということか。これも一方の当事者からの証言であり、在特会側の記録(これは出ないだろうが)がないと、簡単には信じられないが。

第2部のグローバル・ヴィレッジの百姓一揆は、同時代の記録としておもしろく読めた。これは個人史だが、野間易通という人物が何から影響を受けたかということが書かれている。いろいろと極端から極端にバウンドしながら、いまの場所に行き着いた人物。

知的な人物でロールズもよく読んでいる(ロールズかぶれはどうかと思うのだが)。在特会側に同じような人物はいないだろう。これが右翼と左翼の違いといえばそうなのだが。

著者のいうほどには、正義というものは確実なものではないし、著者もそのことはよくわかっているだろう。それも込みで言えば、おもしろい本であることは確か。