警察官白書

古野まほろ『警察官白書』新潮新書、2018


警察出身の作家、古野まほろの警察本。この本は、警察の仕事=部門、専門ごとに警察官の特徴を描くという趣旨。

地域、生活安全、刑事、交通、警備のそれぞれについて、典型的な警察官(出世の仕方、勤務の概要、考え方、行動など)をステレオタイプとして描いている。前著では、警備警察のことはほとんど書いていなかったが、この本ではある程度踏み込んで書いているので、それも読みどころ。

地域は別として、他の4部門は、それぞれ全然違う部門。部門をまたがった異動は少ない。著者は、交通は行ったことがないのでよくわからないと正直に書いているが、それ以外は細かく書いている。

著者が頭脳明晰な人なので、整理が行き届いていて、わかりやすい。役所の人は、こういう本をサクサクと書ける人。

この本は、もともとはこの2倍の分量で書くことを想定していて、この本の内容以外に、「階級」「採用区分」を切り口に、警察官像を描く構想になっていた。紙幅の都合で、その部分はカットしたが、この本が売れれば、それも書くといっている。続編はたぶん出るだろうから、それも遠からず読めるはず。これはけっこうたのしみ。