紀州のドンファン 野望篇

野崎幸助『紀州ドンファン 野望篇 私が「生涯現役」でいられる理由』講談社+α文庫、2018


なんと著者が最近、覚醒剤で殺されてしまったというタイムリーすぎる本。前著は読んでいたのだが、続編が出ていたとはつい最近まで知らなかった。

二番煎じじゃないのかと思っていて、たしかにそういうところもあるが、これはこれでおもしろい。前著と多少異なることは、著者の女性遍歴エピソードが少し付け足され、それには失敗談も入っていること、基本的に風俗には行かない人だが、素人相手の風俗(同伴喫茶とか)や出たばかりの業態には行っているので、その昔の話、さらに、いま問題の焦点になっている最近の結婚話が盛り込まれていること。

こういう危ないことをしている人なので、女を立てた美人局や、強盗(これはいきなり自宅に来た)など、経験豊富。女くどきは最近始めたようなことではないので、いかにも70年代を思わせるエピソードもあって、これはこれでおもしろい。

また、なんでこの年で結婚するのかということも書いてある。やはりいくら外で女遊びをしていても、家には若い妻がいるのがいいという。そのおかげで命を落とすことになったのだから、人生どうなるものかわからない。

失敗は、他にもいろいろとしていて、基本的にカネを利用して口説いているので、一番あるのは詐欺。女の結婚詐欺というのもあるということがわかった。数千万円とられたことが何回もあるという。それでもまったく問題とせずに続けているのがすごいところ。どこまでも前向きな人。

さすがに例の「家政婦」の話は出てこない。別に恋の対象ではないので当然だが、事件の真相が出てくるのがたのしみでしかたがない。