恋する昆虫図鑑

篠原かをり『恋する昆虫図鑑』文藝春秋、2015


著者の最初の本。昆虫の生態を、人間の恋愛関係に結びつけて書いている。後から出した2冊より、こちらの方が確実に面白い。やっぱり著者は、他の人とコラボしなくても、単体で面白い人。

著者は、自分の容姿を自虐的に言及していることがよくあるが、この本を読むと、容姿が評価される生物学的な理由はよく理解しており、知っていて書いていることがよくわかる。この本は、著者の昆虫に対する偏愛と.著者の男女関係に対する人間観察がちょうどうまく組み合わさっていて、とても面白く読める。

ただ、基本的にこの本を面白くしているのは、著者の観察力なので、生物に対する愛を、うまく人間観察のほうに転換していってほしいと思う。この本はこの本で、生物の本としてありだが、基本的にはエッセイの方が面白く書ける人のはず。