フェミニズムと戦争

鈴木裕子フェミニズムと戦争 婦人運動家の戦争協力』マルジュ社、1986


戦時中の婦人運動家がどのように戦争に協力していたかについての本。取り上げられているのは、高良とみ羽仁説子市川房枝山高しげり奥むめお。それに「中央協力会議」に参加した女性代表ら。

総動員体制の下では、社会運動に関わっていた女性は、ボリシェヴィキとかはともかく、ほぼすべて戦争に協力していたのだが、この本は、資料の引照という形で、戦時中に婦人運動が何をしていたかを描いている。

当然著者は、フェミニズムかつ左翼で、戦争協力は許さないという立場で書いているから、そういう本だが、フェミニズムだから手加減するという考え方はないので、個人的に親近感があってもなくても、他の運動姿勢に共感できてもできなくても、手厳しく批判している。

ついでにいえば、村岡花子だが、中央協力会議員、大日本婦人会理事なので、積極的に翼賛運動に参加していたことが書かれている。この本を、中園ミホが読んでいるかどうかはともかく、この本に書かれている事実を知らないはずはないので、そこは意図的に書き換えたということ。戦時中に目立った活動をしていた人が戦争反対だったなどということは絶対にありえないので、いくらドラマとはいえ、いい加減にしましょうという話。