京都の壁

養老孟司『京都の壁』PHP、2017


養老孟司の京都本。しかしこればくだらない。

養老孟司は、京都国際マンガミュージアムの館長をしていたので、月1で京都に来ていた。そこでこの本を書いたということなのだが、まあ、ツッコミが浅い。

まず京都を美化しすぎ。東大と京大の違いを書いているところは特にそう。巨大都市の東京における東大の地位と、中規模都市の京都における京大の地位がぜんぜん違うのはあたりまえ。田舎に行ったことがないのか。それに京大に権威主義がないかのようなことを書いているが、ぜんぜん違うと思う。

だいたい京都など、東京と比較することが間違い。大阪、神戸、または同クラスの都市だったらともかく・・・。京都が特権的にすごいというのは、宣伝でそう思っているだけのこと。だいたい、京都の人というカテゴリーが問題で、京都の住民が、内部の階層に非常にうるさい(井上章一の本にあるとおり)ことを忘れている。天橋立を京都の一部みたいに書いていたりするし。

それ以外の部分は、養老孟司の専門分野の知識を京都にあてはめたもの。つまり思い込み。こんなよいしょ本なんか出すから、また京都への特権意識が肥大化する。こまったもの。