増補改訂版 日本史に出てくる官職と位階のことがわかる本

歴史読本』編集部(編)『増補改訂版 日本史に出てくる官職と位階のことがわかる本』、KADOKAWA、2014


歴史読本』が元なので、新人物往来社が版元で2009年に出た本の増補改訂版。中経出版から出た本を、KADOKAWAが電子版で出した。いろんな意味で非常にありがたい本。

古代、中世、近世、近代、宗教、資料編に分けて、各年代の公的機関とその仕事、官職、位階といったものを細かい章を立てて揃えた本。第一章が古代だが、「律令制度と官位」、「阿倍仲麻呂遣唐使のしくみ」、「官位を贈られた山々」、「坂上田村麻呂征夷大将軍のしくみ」、「官位を賜った動物たち─鷺と猫と象」、「藤原道長と摂政関白のしくみ」、「紫式部と女官のしくみ」、「後白河上皇院政のしくみ」の8節ある。といっても節番号を立てるほど体系的になっているわけではなく、コラムみたいな部分もある。しかし、そういう部分も含めておもしろいので、これでいい。

巻末の著者紹介を読むと、大学で教えている人とそうでない人を含めて、けっこうお年のいかれた経験豊富な人を揃えている。とにかく記述が非常に細かいので、ザラッとした知識では書けない。分野ごとに細かく執筆者を揃えたのがきいている。

しかも、内容は細かいのに、歴史に興味があって最低限の知識があればきちんと読めるように書かれている。これはありがたい。一般向け歴史雑誌から出ているから当然だけど、専門書ではこう親切にやってはくれない。

ありがたいのは資料。江戸時代の官職名(逆引き辞書形式)つまりどの官職にいつ誰がついていたのかということの一覧表、すべての大名家(どこに何氏がいて、いつからいつまで続いていたか)の一覧表、「掌中武家◯要」という資料(これは、式典のマニュアル)がついている。この資料で、江戸時代の大名家がどういう順番で、いつどこにいたのかがわかる。

紙の本は小事典レベルのボリュームがあるはず。それがこんなにお手軽に手に入って、本当にありがたい。資料を眺めているだけで、一日ひまがつぶれる本。