未中年

ジェーン・スー(原作)、ナナトエリ(作画)『未中年 ~四十路より先、思い描いたことがなかったもので~』新潮社、2017


ジェーン・スー原作のマンガ。これはよくできている。

主人公は、四十路の女。仕事は雑誌編集者。結婚しているが、ダンナとは家庭内別居。子供はいない。そこに、会社が潰れる危機、ダンナと離婚の危機、新しい年下男との出会い、その他いろいろ降ってくるというおはなし。

章のあいだに、ジェーン・スーのエッセイが入っていて、これが非常によく書けている。1973年生まれということなので、今年44歳になるのだが、きちんとした大人の文章。しかし、このマンガ(創作だが、主要エピソードのいくつかはジェーン・スーの体験)を読むと、元から大人として出来上がっていた人ではなく、いろいろあって、大人になっていったのだとわかる。

ジェーン・スーがあげている「大人の条件」。言動に思慮分別があること、自立していること、社会的な責任が負えること、自分の気持ちに振り回されないこと。まったくそのとおり。これが全部満たされていれば大人と言える。しかし、いくつになっても自分の気持ちを持て余すとも言っている。容れ物だけが経年して、中身は未熟なところがまだら模様に残ってる、とも言っている。きちんと自省ができているということ。

作画の人はよくしらないが、この内容に非常にあった絵柄。1巻完結だが、それでは惜しくなるようなレベル。