書店員 波山個間子 1

黒谷知也『書店員 波山個間子』1、KADOKAWA、2017


書店員マンガ。「青ひげブックス」書店員の中で、なんとなく浮いている感じの、波山個間子が、「ブックアドバイザー」となって、わずかな手がかりから、客のために、いろんな本を記憶の中から選び出すというもの。

ゲーテ、ヘッセ、向田邦子沢木耕太郎、野田和佑なんかがネタになっている。まあ世の中、読書家というものがいることは事実だが、客のぼんやりとしたネタ(「手紙に☓とか◯とか書く話」くらいのもの)で、その本を見つけ出すというのは、いったい、何冊本を読んでいればできることなのやら。しかも、対象は文芸書だし。

書店員の波山の飄々とした態度はなかなかよい。書店員のキャラは総じておもしろくできている。いまどき、こんなリアル書店があるものやらどうなのやら。しかし、検索してもわからないことを人間がわずかな事実で探し当てることができたら、それは本当にAmazon以上のサービスを提供しているのかもしれない。

書店員ネタというのはいいが、もうちょっと小説以外の分野に拡大できないものか。というか、これに載っている小説をたいして読んでいないのが、こちらにとっては致命的・・・。