もういちど読む山川日本史

五味文彦、鳥海靖編『もういちど読む山川日本史』山川出版社、2009


前に読んだ、『もういちど読む山川世界史』の日本史版。山川の日本の歴史(改訂版)教科書の簡略版。

タイトル通り、「もういちど読む」人のためのもので、日本史をやっていない人がいきなり手を付けるのは不適切。高校教科書は、できるだけ短いページ数で詰め込めるだけのものを詰め込んでいるので、初めて読むとすると、何がなんだかわからない。独習用の本ではない。

しかし、復習用と割り切って読めば、このページ数で通史が読めて、しかも内容は確実なので、こんなにお得な本はめずらしい。確かに、事実の羅列で、読みやすいというわけにはいかないが。

この本の美点は、コラム。ここは近年の学界動向に照らして、著者の強調したいところを書いている。例えば「第6章 武家社会の転換」だと、「蒙古襲来」、「悪党」、「琉球の発展」。ここは実際にも読んでおもしろい。

これが独習できるような教科書だと、この倍の分量でも足りないかもしれず、それでは読むほうがつらい。とにかく通読できる程度の分量だということがメリット。