アメリカの大学の裏側

アキ・ロバーツ、竹内洋アメリカの大学の裏側 「世界最高水準」は危機にあるのか?』朝日新書、2017


親子の共著本。アキ・ロバーツは竹内洋の娘で、ウィスコンシン大学准教授。専門は犯罪学、統計社会学

アメリカの大学制度を学生側からではなく、教員側から見た本は比較的少ないので、非常に参考になった。ネタは、大学ランキング、教員採用と昇進、学費、受験制度、大学の社会的価値。最後の一章が、それまでと対応する日本の大学論になっていて、そこを竹内洋が書いている。

配偶者雇用制度とか、よくわかっていなかったし、R1、R2大学の差、テニュアトラックへの道など、細かいところは内部の人以外はなかなかわからない。この制度でテニュアトラックに乗り、テニュアを取るのはたいへんなこと。それもテニュアを取った後も引き続きたいへん。

アメリカの大学学費がいつごろから上昇したか、大卒学位がどれくらい貴重なものなのか、入試のAOが何のためにできたのか、親が卒業生、人種、自由研究・課外活動のウェイトなどなど、役に立つことが多かった。

これを日本でマネさせようというのであれば、制度と人員を全部取り替えなければダメなので、それは無理でしょう。もっとも、アメリカでも大学教員に対する社会(特に共和党側)の風当たりはかなりきつく、インテリが民主党支持になるのもあたりまえ。大学でトランプをホメる人などいないのが当然ということ。