潜水艦の戦う技術

山内敏秀『潜水艦の戦う技術 現代の「海の忍者」─その実際に迫る』サイエンス・アイ新書、2015


最近よく見る、退役自衛官が書いた潜水艦の構造と運用についての本。著者は1948年生まれ。潜水艦乗りから防大教授を経て、現在は太平洋技術監理有限責任事業組合理事という人。他にも潜水艦や中国海軍についての著書がある。

潜水艦の構造は、このシリーズが左ページに文章、右ページに写真やイラストという構成がちょうどよくマッチしていて、非常にわかりやすい。特にこの本は、多くの写真を海上自衛隊から提供してもらっていて、潜水艦の内部の写真が多数載っている。いまどき、本物の潜水艦が誰でも見られるようになっているので、写真はあればあるほどありがたい。また、実際に乗員が艦を動かしている写真もたくさんある。

潜水艦が音をどのように使っているのかということは、文字で説明されてもわかりにくいのだが、この本は図を使って、どのように変温層が分布していて、音の伝わり方がどう違うかを目でわかるように示している。これはありがたいところ。

潜水艦乗員の養成については簡単に済まされているが、これは類書で補強できるので、そんなに問題ではない。しかし、米海軍の潜水艦についての写真は、日本より提供範囲が大きいのだが、これはなんとかならないのか?