創価学会の研究

玉野和志『創価学会の研究』講談社現代新書、2012


創価学会研究の比較的最近の本。創価学会の末端組織で、会員が何をしているかを調べているという意味では評価できる内容。

著者は、自身が「創価学会の御用学者扱いされている」と述べているが、創価学会を擁護しているとみられるような文章に対しては、かなり風当たりは強いらしい。実際、この本を読んでも、創価学会と政治の関係については、かなり突っ込みが浅いと感じるし、公明党創価学会の関係についても、この本ではわからないということが多い。

むしろ、この本の価値は、過去の創価学会研究の内容をサーベイしている部分にある。これを読んでいると、まともに創価学会研究をしている本は非常に少なく、ほとんどが1960年代から70年代に書かれている。その後は、谷富夫『聖なるものの持続と変容』、島田裕巳創価学会』の2冊しか紹介されていない。つまり、現在の創価学会がどのような状態にあるかということについての実証的な研究はほぼないということ。

創価学会が、自組織の内情を外部に晒さなくなったからなのか、基本的なこと、例えば会員数や財政などが非常に不明確。公表されている数字にどの程度の根拠があるかということが不明だし、財政もわからない。宗教団体研究はこれ以上のことはできないのか?

文献案内としての意味はあると思うので、ここからリストにある文献を少しずつでも読んでみるしかない。