ウィーン国立歌劇場 ワルキューレ

ワーグナー 「ワルキューレ

アダム・フィッシャー指揮、スヴェン=エリック・ベヒトルフ演出

ジークムント:クリストファー・ヴェントリス
フンディング:アイン・アンガー
ヴォータン:トマス・コニエチュニー
ジークリンデ:ペトラ・ラング
ブリュンヒルデ:ニーナ・シュテンメ
フリッカ:ミヒャエラ・シュースター
ヘルムヴィーゲ:アレクサンドラ・ロビアンコ
ゲルヒルデ:キャロライン・ウェンボーン
オルトリンデ:ヒョナ・コ
ワルトラウテ:ステファニー・ハウツィール
ジークルーネ:ウルリケ・ヘルツェル
グリムゲルデ:スザンナ・サボー
シュヴェルトライテ:ボンギヴェ・ナカニ
ロスヴァイセ:モニカ・ボヒネク


東京文化会館、2016.11.12


これは先週の土曜日に東京文化会館であった、ウィーン国立歌劇場の「ワルキューレ」。先月に新国立劇場で公演があったので、チケットの高いこちらには行かないつもりだった。しかし、新国立劇場の公演は本当に内容がよく、それだったら、ウィーン国立歌劇場の公演はさらにいいはず。行かないということがあるのか?ここで聞けなかったら、一生聞けないかもしれないのに、と思ったので、結局行った。

チケットはC席。これでも49000円だった。4階左の席でこれ。で、S席は67000円だった。手に入れた時点では、これが一番安い席。F席17000円とかはどうせすぐに売り切れたでしょ。席はしかたないとして、前の列に座っていたハゲおやじが舞台の方に頭を傾ける度に、舞台がさえぎられるので弱った。これもしかたない。

そして肝心の公演そのものは、スーパーすばらしかった。主要キャスト、ジークムント、ジークリンデ、ヴォータン、ブリュンヒルデは全部すばらしい。まあ、この歌劇場の公演だからそれはそうだろうけど。ジークムントとヴォータンはとりわけよかった。あれだけの声が出せるのだ。新国立劇場だけにしておかなくてよかった。

他のキャストもよかった。フリッカも非常にうまい人だった。ワルキューレのみなさんには、めずらしく黒人の歌手がいた。韓国人っぽいアジア人もいたので、この辺はバラエティーがあってよし。

舞台装置は、3幕の幕が開いた時に、舞台上に実物大の馬の置物が9頭分、並べられていた。ふつうに馬だったので、新鮮。最近は、そういうことはあまりしないので。しかし、こんな大きな馬、ワルキューレが引っ込んじゃった後はどうするのかと思っていたら、最後まで舞台上にあった。

魔の炎の場面はどうするのかと思っていたら、まず馬の置物に照明をあてて、そこから燃え上がって、最後は舞台右左正面の全部が炎で燃え盛るという演出。これはかなりよかった。あまり珍しいわけではないけど、これくらいがいい。

そしてフィッシャーとオーケストラは当然すばらしい。これは悪いけど、新国立劇場が真似できないもの。これだけ鳴るのだ。ヴォータンとブリュンヒルデの別れのところ、ボロボロ涙が出てとまらない。ちょっとお金を使っても、これに行かなければどうするのという舞台。

で、それはよかったが、別れの場面で、1階のどこかでアラームを鳴らしたアホがいた。よりによって、一番いいところなのに、本当に馬鹿。しつこくアナウンスで言っているのだから、電源切ればいいのに。

これから生の舞台で、これ以上の公演を聞くことはあるのだろうか。まあ、あるといいなと思う。その時に、また東京に行けたらいいな。