歌舞伎町・ヤバさの真相

溝口敦『歌舞伎町・ヤバさの真相』文春新書、2009


溝口敦の「歌舞伎町の歴史」本。最初の部分で、「自分は歌舞伎町に四十年出入りしているが、危ない目に会ったことは一度もない」と書いている。それはそうだろうと思うが、この本自体は、歌舞伎町のヤバい話ばかり書かれているので、読んだら、「???」となることは必至。

江戸時代に百人町ができ、鉄砲同心がつつじを植えていたという話から始まり、新宿が遊郭だった頃のこと、戦後になって「歌舞伎町」が本格的に発展していった頃のこと、それ以後が、昔の文献ベースでていねいに紹介されている。

特に、歌舞伎町の歴史で重要なのは、ここがテキ屋が支配する町だったことであり、戦後は三国人が支配していた町だったこと。朝鮮人、台湾人、中国人が闊歩する町だったのは今に始まったことではなく、昔からそうであり、今でもそうだというだけのこと。

ボッタクリ店の仕組み、華人マフィアの暗躍、華人同士の抗争、パチンコ裏ROM稼業など、比較的近い時期(2009年時点での)のこともいろいろ語られていて、おもしろい。この本が出てから、もう7年も経っているので、稼業の内容はいろいろ変わっているだろうが、「危ない香りが客を引き寄せる」ことは同じだろう。