バイコヌール宇宙基地の廃墟

ラルフ・ミレーブス『バイコヌール宇宙基地の廃墟』三才ブックス、2015


これはすばらしい写真集。現カザフスタンにあるバイコヌール宇宙基地にある、「エネルギアーブラン」計画の廃墟を写したもの。

射場もかっこいいのだが、なんといっても見どころは、「エネルギアーブラン」のための巨大な格納庫。長幅132メートル、高さ62メートルの大きさ。

この中に、ソ連シャトルこと「ブラン」の技術試験機「OK-MT」と2号機「ブーリャ」が眠っている。放置されてもう20年以上になるので、ホコリと鳥の糞にまみれている。耐熱タイルはボロボロで半分剥げている。

もうひとつは、「エネルギアM」(エネルギアの小型版)の格納庫。これもデカイ。こちらは対抗馬の「アンガラ」に負けてしまい、そのまま廃墟になった。

これらはただのガラクタとして放置されているので、どこでも写真は撮り放題。コクピットもエンジンも、もはや機密ではなく、自由に撮影できている。

「ブラン」1号機と、「エネルギア」は、格納庫の屋根が抜けてしまい(雨水や資材の重みで崩壊)、射場に引かれたレールや屋根のない格納庫だけが写るばかり。

他のたいていの廃墟よりも、圧倒的な迫力。ほとんどの世界遺産など、これに比べれば問題ではない。というか、これを世界遺産にすべきでしょ。この施設もいずれは取り壊されてしまうかもしれないことを考えれば、この写真集の貴重さは計り知れない。