東松照明─長崎─

東松照明─長崎─」、広島市現代美術館、2016.7.18


今週の月曜日まで現代美術館でやっていた展覧会。写真展。

とにかくひたすら長崎の写真を撮影したというもの。写真家本人は2012年に亡くなった人なので、1960年代から比較的最近(2000年代初め)までの写真がある。

最初は依頼の仕事だったということで、「被爆」がネタだったから、被爆者の写真(やけどがはっきり写っている)が多かったが、だんだん、町の写真が増えてくる。それも、商業地の中心部などではなく、町の端っこにあるボロい家や店が多い。

広島も昔はそんなものだっただろうと思うが、長崎のボロ家は、本物のボロで、1960年代だからトタンでふいたあばら屋が多い。魚市場や漁港の写真も多く、魚のあまりものを食べている猫もいる。長崎は今まで一度しか行ったことがないが、昔からある漁港の風景はどこでもそんなに変わらない。

2000年代の写真はカラーになっているが、さすがに60年代と同じではないとはいえ、写真家の関心がボロいところにあることは変わらないので、そういうものばかり写っている。

昔の写真なんて、一種のタイムマシンだから、消えていった昔を満喫できた。長崎をよく知っていれば、もっと楽しめただろうけど。人物は老人ばかりだが、そんなに暗くはない表情だったのもよかった。