50代からのアイドル入門

大森望『50代からのアイドル入門』本の雑誌社、2016


SF評論の世界の人、大森望が自分のドルヲタ道を語り尽くした本。

もともとハロヲタからこの道に入っているのだが、幅広く通っている。CDやテレビ、ネットだけでなく、当然現場にも通っているし、握手会にも行っている。

この本は、自分の体験を通じて、アイドルヲタってどんな人なのか?と思っているような部外者やちょっとだけアイドルに興味があるような層の背中を押してあげようという親切な本なので、アイドルのことなどまったく知らなくても、気軽に読めて、ドルヲタが何にひかれているのかも、だいたい見当がつく。

地理的に不利(田舎住まい)のドルヲタもありだし、接触は自分ができる範囲ですればいい。高齢になってもできる(60すぎ、もう20年以上も続けているドルヲタのエピソードもある)ので、間口は広い。

最後は、タワレコ社長のドルヲタ、嶺脇育夫との対談になっていて、これがまた奥深い。嶺脇は、「アイドルは努力して好きになるもの」と言っており、好きになれないのは努力が足りないからと断言。その心は、「ほとんど宗教」とも言っている。

いろんなアイドルの現場エピソードも楽しい。ドルヲタでいる人は楽しんで読めるし、そうでない人にはおもしろい。好著。