愛国ってなんだ

古谷経衡、奥田愛基『愛国ってなんだ 民族・郷土・戦争』PHP新書、2015




本の著者は古谷で、半分くらいのページは古谷の文章。奥田は対談者という位置付けになっていて、残りの部分が、古谷と奥田の対談になっている。


古谷経衡という人の文章は、これまであまり読んだことがなかったが、これを読んでびっくりした。保守論客ということになっているのだが、言っていることがあまりに幼稚。このレベルで本を書いているんですかと驚いた。まだ比較的若いというのは言い訳にはならない。


安倍晋三の生い立ちがヒトラーとは異なっているから、安倍晋三ヒトラーじゃないって、だから一体何なのかという話。最初から方向性を間違えていると思う。


あきれるのは、古谷と奥田の対談での古谷の態度。奥田が「普通の若者」ではなく、「リア充」だという。そうだとして、それが何なのか。確かに奥田は普通の若者から外れているとは思うが、政治運動に関わる者が普通でなくてもあたりまえ。リア充云々は、単純に古谷が自分がリア充じゃないので、うらやましがっているというだけのこと。みっともない。これで、保守を批判するつもりになっているのだから、なんなのかと思う。


逆に奥田の言っていることは、はるかにマシ。主張の内容としてはおかしいことも言っているが、基本的な態度というか、育ち方がまとも。やや左翼だが、教条的な左翼ではなく、個別の問題から反政権の方向に持って行こうとしている。これは戦略的にやっているかもしれないがうまいやり方。古谷より、一枚も二枚もこちらの方が上手ということ。