民主主義ってなんだ?

高橋源一郎×SEALDs『民主主義ってなんだ? まだこの国をあきらめないために』河出書房新社、2015


話題になっている本なので読んでみた。思ったよりは、まともな本。高橋源一郎とSEALDsの座談を本にしたものだが、高橋源一郎は相変わらず。いつも同じことしか言ってないから、この本でも同じ。一番の問題は、民主主義が危ないのは、民そのものに問題があるからだということを、よく理解していないということ。確かに、民主主義と立憲主義の対立と相補的関係ということは言っているが、高橋は、権力者対民の図式で民の方に立つという位置を変えられないのだろう。これはもう仕方ない。

それに比べると、学生は、頭の中はそんなに変わりはないが、学生にしてはよく勉強していることは確か。ほとんど話しているのは、奥田愛基と牛田悦正。おかしいことも言っているが、それは学生だから仕方がない。行動だけではダメで勉強しなければいけないことも自覚している。この人たちの方向性はゆがんでいると思うが、学生でこのくらいのことを考えて、社会運動に参加しようというような人間はめずらしいから、そこはほめてあげないといけないだろう。

しかし、大学が休暇であればいいが、あの規模の集会の下準備その他は時間と労力を食い潰す作業のはず。この学生たちが、何人くらいの規模で実働していて、コストは全部自腹なのか、他の集団やグループとの関係など、そういう細かいことが知りたかったのだが、そっちの記述は薄かった。それが残念。