ショッピングモールから考える

大山顕東浩紀『ショッピングモールから考える ユートピア・バックヤード・未来都市』ゲンロン、2015


買ったまま放置していたが、読んでみると非常におもしろかった。ショッピングモールから話を始めることで、建築、都市、生活などなど、いろんなところに話が拡散している。大山も東も、語りの達人だし、この本はトークイベントを起こしたものなので、ライブ感がある。

この本がまず言っていることは、ショッピングモールこそ本物の町だということ。居酒屋やら、コンビニやらいろんなものがある普通の町よりも、ショッピングモールはより多くの人々に開かれた場所。そこには新しいコミュニティ、新しい開放性、新しい普遍性がある。

東京や一部の大都市はともかく、現実に田舎ではショッピングモールが町で、古い町はなくなりつつある。田舎は土地が安いので、いくらでも大きなものを作ることができ、そこになんでも入れられる。普通の町を一からつくるのは大変だが、それに比べるとショッピングモールは自由に作れる。

究極のショッピングモールのようなディズニーワールドの話も面白かった。東京都心部に匹敵する広さだけでなく、空港からディズニーワールドまで、すべてがディズニーの国になっている。アメリカの中にもうひとつアメリカの理念を形にしたアメリカがあるようなもの。

情報量の多い本で、まとめるということが簡単にはできない本。続編も出すということなので、それもたのしみ。唯一残念なのは、写真が豊富な本なのに、自分のKindle端末では、それがきれいに出ない・・・。幻冬舎から出しなおされたようなので、そっちを買ったほうがよさげ。