神道とは何か

伊藤聡『神道とは何か 神と仏の日本史』中公新書、2012


神道の中世起源説を整理して説明する本。

古代にあった神祇信仰は、多神教的自然崇拝にすぎず、人間の内面との関わりを欠いていた。そうした神祇信仰の上に、神仏習合思想、中世神道説が積み重なり、外国への劣等感と優越感が上乗せされる。

近世以降は、天皇信仰と結びついて、神道として再編されたものが現在に続く神道の基礎を形成する。神道の固有性を強調する説も、中世に反本地垂迹説として現れたもの。

それでも神道と仏教の密接な関係は江戸時代までは切り離せなかったが、神仏分離廃仏毀釈によって、明治になってから両者が引き裂かれたところから、「日本固有の宗教としての神道」が成立したという。

勉強になる本だが、予備知識が相当ないと読んでいくのが大変。論旨もいろんなところに飛んでいる。とはいえ、読む価値はある本。国学の位置づけの整理にも役に立った。