ネットフリックスの時代

西田宗千佳『ネットフリックスの時代 配信とスマホがテレビを変える』、講談社現代新書、2015


この本を買ったのは、数日前にAmazonでポチってしまった、Amazon fireTVstickが大変なものだということがわかったから。これは一種のセットトップボックスだが、Amazonプライム会員は、これをブロードバンド回線にwifiでつないで、映画やテレビのコンテンツを見ることができる。同じようなVODサービスは、うちのテレビにもついていたが、非常に使い勝手が悪く、ダメな代物。しかし、Amazonのサービスは、安く、定額制で、ユーザインターフェイスがよい。

本は、ネットフリックスをタイトルに持ってきているが、これを含めた、SVOD(定額制ビデオオンデマンド)サービス全部を論じる。SVODは、現在の地上波テレビを完全に代替するわけではないが、レンタルやセルのパッケージソフトや、衛星放送などの有料放送を相当部分代替し、地上波の領域にも、食い込んでくるもの。

ブロードバンド回線を持っている人は、SVODサービスとテレビ受像機で欲しいものはだいたい見られる。それがなくても、スマホにつながっていればどこでも見られる。見たいものを見たい時だけ見ればいいので、パッケージソフトを買う必要はなくなるし、衛星放送やケーブルテレビに比べるとはるかに安い。地上波テレビはコンテンツ制作者としては必要だが、決まった時間にテレビの前にいなければいけないのは馬鹿げているし、レコーダーの需要も減少するだろう。

テレビ局も、現実に視聴率が下がっていることは知っているので、日本テレビがhuluを買収したように、この領域に乗り出すつもり。放送した番組は全部SVODにあげてくれればいいのに。新しい番組をSVODにあげるための追加コストは非常に低いので、権利がクリアされればできるはず。

この本は、最近の映像、音楽を含めたコンテンツ・ビジネスの動向をまめに拾っており、関係者にもきちんと話を聞いている。非常に読みやすい点も◯。好著。