武器の世界地図

21世紀研究会『武器の世界地図』、文春新書、2015


タイトルは、むしろ「武器の歴史」とした方がいい本。この執筆者グループが他に書いている本が、『民族の世界地図』、『地名の世界地図』、『人名の世界地図』、『常識の世界地図』、『イスラームの世界地図』なので、それに合わせている。

古代から現代までの武器の発達史だが、書いている章ごとに内容に粗密があり、古代のところは非常によく書けているのに、近代になると、実際の運用のことがあまり書かれていなかったり、武器の話を放っておいて技術発達の歴史だけが書いてある部分があったりして、あまり全体の統一はとれていない。

それでも、新書サイズで武器の歴史をまとめた意味はあるし、参考文献リスト(全部日本語ばかりだが)は巻末についているので、知らなければ買う価値はある。『戦闘技術の歴史』1-4は、やっぱり読まないとダメだと痛感した。

本来は、プロの軍人か本当の碩学が書くべき分野だが、日本人だと無理なのか。陸海空全部の武器を古代から現代まで運用込みで書くのはやはりむりっぽい。