日本共産党の深層

大下英治日本共産党の深層』、イーストプレス、2014




最近の共産党についてのルポルタージュ本。市田忠義穀田恵二小池晃ほかの共産党幹部、共産党の国会議員、広報、しんぶん赤旗記者らに取材して書いている。


しかし当事者への取材だけ、しかも共産党の幹部だけにインタビューを取っても、共産党のことは何もわからないだろう。実際、この本を読んでも、共産党に都合の悪い話は皆無。ほぼ共産党の宣伝本である。


戦前の党史や、ソ連との関係についても、共産党にとってマズイ話はない。著者は共産党の歴史について何も調べていないし、共産党を離脱した者や、末端党員の書いたものもよんでいない。


大下英治は、プロダクション形式で本を作っており、本人はプロデューサーしかしていないのは周知のこと。しかし、この内容は、いくら何でもないわ。出来上がりをちゃんと読んでいないのではないか。


わかることは、共産党は相変わらず自分の党はすべて正しく、党の歴史には一点の汚点もないという立場から動いていないということ。


今は共産党の党勢は上向いているので、共産党幹部は、自分たちの路線の正しさにまた自信を深めているだろう。ある意味で、非常に日本的な組織。