カラシニコフ I

松本仁一カラシニコフ I』、朝日新聞出版、2010


もう10年以上前に出た本だが、いま読んでも面白い。タイトルはカラシニコフとなっていて、AK47の本なのだが、ほとんどのページは失敗国家でAK47がどのように使われているかということにさかれている。

ソマリア南アフリカ赤道ギニアがネタになっている。この辺の国は、政府というよりは山賊のようなものが支配しているところ。南アフリカは少しはマシだと思っていたが、ひどいところは失敗国家と同じレベルで、治安を維持しているのは自警団の力。

こういうところでは、教育のない人間が銃を扱い、手入れもちゃんと行われていないので、AKの信頼性が威力を発揮する。銃も道具なので、どんな環境でもきちんと動くということが何よりも大切。

最近亡くなった、AKの開発者ミハイル・カラシニコフのインタビューもついている。

ロシアからアフリカまで、行きづらいところをまめに回って取材していて、とにかくおもしろい。

銃そのものというよりは、政府にまともな権威や権力はなくなった社会の話なので、そういうことに興味があれば楽しく読める。

銃に対して著者が感じている嫌悪感のようなものは、朝日新聞の連載なので、これは仕方がない。