スクールセクハラ

池谷孝司『スクールセクハラ なぜ教師のわいせつ犯罪は繰り返されるのか』、幻冬舎、2014


著者は共同通信記者。自分で学校セクハラ問題の取材を行って、新聞連載された記事を書籍化したもの。

これだけセクハラが至るところで問題にされていても、学校では相変わらずセクハラが横行している。やっているのは教員で、被害者は生徒。この本で取り上げられている例は、高校と中学校、小学校。

学校での子供相手のセクハラは、原則懲戒免職だが、やっている人はやっている。理由は、相手が子供だと簡単に被害を訴えられないから。訴えが出て調査が行われる場合も、当事者の教員が事実を認めればあっさり免職だが、事実を認めない場合は簡単には処分できない。下手をすると、「証拠なし」ということで、当事者が異動させられて終わり。

被害者の態度が厳しい場合は刑事裁判ということになる。被害者が記録を取っていれば起訴、有罪ということになるが、そうでなければ難しい。また学校や教育委員会は、有罪判決が出ないと処分できないことが多い。

公立学校は、学校とは別に教育委員会があるからまだましで、私立学校は学校ぐるみで悪評を隠そうとするから、被害は公立より表に出ない傾向がある。

著者は被害者側だけでなく、教員にもしつこく取材しているが、当然相手は協力的でないことが多く、取材は困難。それでもここまで粘って記事を書いているのだから大したもの。話したくないことを話させるのが記者の仕事だが、よほどしつこく食い込まないとできない業。