タカラヅカ・ハンドブック

雨宮まみ、はるな檸檬タカラヅカ・ハンドブック』、2014、新潮社


この本を読むまで雨宮まみがヅカヲタだとは知らなかった。雨宮まみが書いているのだから、そんなに変なことはないだろうと思ったが・・・ヅカヲタの心の一端をかいま見ることができたという意味で、よい本。

自分はまったく宝塚歌劇というもののよさが理解できず、今まで生の舞台を見たことなし。テレビ経由でたまにNHKでやっているものを見るだけ。どうやって入ればいいのかがわからないし、どこをどう見ればいいのかわからない。

しかしこの本を読むと、その理由は2つくらいらしいことがぼんやりとわかる。ひとつは、「テレビではわからない」ものだからということ。これはある程度納得。舞台演劇を録画したものはたいていあまりおもしろくない。宝塚ではない、新劇や小劇場の舞台は多少見ているし、テレビ放送(これもNHK)も見ているので、録画されたものとライブの舞台は違うものだということはわかる。

もうひとつは、「自分が男だから」ということ。この本で、雨宮まみは、「女だから、現実の男よりもずっと男らしいタカラヅカの男役が好きになる」という趣旨のことを言っている。宝塚歌劇の視点は、「女から見て、こうだったらいいのになと思えるようなファンタジー」。男が女に求めるファンタジーはそこにはないし、タカラヅカの男役は現実の男や他の舞台演劇の男とも切り離されたものだから、観客席に男がいるとすると、自分の視点をどこにあてていいのか、戸惑うだろう。

とはいえ、1番目の理由はともかく、2番目の理由は自分がその世界に入ってしまえば大したことではないはず。現実に自分がオペラという変な歌芝居にハマっているのだから、敷居を乗り越えてしまえばそんなに重要なことではないだろう。

だから、タカラヅカに入りづらい理由は金銭的、時間的なものだろう。首都圏や関西に住んでいればちょっと努力すれば行けるが、なかなか田舎に来てくれないし、と思ってちょっと調べたら、年に一度は来るようだ。これはやはり実物を見ないとしょうがないから、チケットあたってみよう。梅田や博多だったら、無理すれば行けるし。と、この本を読んで、かなり行ってみる意欲が出てきた。怖いもの見たさでもいいよね。