大英博物館展

大英博物館展 100のモノが語る世界の歴史」、東京都美術館、2015.5.8


東京都美術館の「大英博物館展」、100点くらいだったらサクッと見られるだろうと思っていたら、そんなことは全然なかった。圧倒された。2時間半くらいかけて見て、それでも最後の方は適当にすっとばした。

見ものは、B.C.2500年頃の「ウルのスタンダード」や、12世紀後半の「ルイス島のチェス駒」などだが、それだけでなく、どの展示物も、時間をかけて見なければ済まないもの。というのは、美術展示ではなく考古、歴史展示なので、展示物には詳しい日本語の説明がついており、これを読まないとなぜ展示物がここに並べられているのか、理解できないから。

音声ガイドも当然借りていたので、説明文を読んで、音声ガイドを聞き、展示物を見ていくと、いくら時間があってもたりない。中世以前の社会で、どこにどういう文化圏があったのか、教科書で読んではいたが、「実物」を出されると、迫力が圧倒的。しかも、地中海=ヨーロッパ文化圏だけでなく、アジア、アフリカ、南北アメリカの歴史が「横に並べて」示される。これは大英博物館でないとできないこと。

印象深かったのは、B.C.550年頃の「リディア王クロイソスの金貨」(最も古い鋳造貨幣)や、A.D.1-40年頃の「アウグストゥスの胸像」(かっこいい)、900-1400年頃の「キルワ採集の陶片」(中国、イスラム、地元タンザニア産の陶器片が集まっていて、ここが交易の拠点だったことがわかる)などなど。

一番心を撃たれたのは、1980-1989年の「アフガニスタンの戦争柄絨毯」。図案の中心にソ連軍のヘリコプターと兵士(角が生えている)があって、ムジャヒディンがソ連兵を殺しているというもの。周辺に置かれているのは、ソ連軍の戦車と装甲車。これは、「風の谷のナウシカ」の映画で最初に出てくる、織物の図案にクリソツだ。創作者はどこかでちゃんと通じあっているものなのね。