決定版!SF映画年代記 3

「決定版!SF映画年代記」3、「われらはロボット」


録画していてずっと放置していたBBCTVシリーズの3回め。この回はロボット。

ロボットは、本質的には生命の創造で、人間が神になることの隠喩。

作品は、まず「ターミネーター」。

ターミネーター」は、「機械がプログラムを越えて勝手に動く」というロボットものの定番を仕上げたもの。それに当時流行したSDI計画の要素、人類滅亡ものが入っている。最初のキャスティングでは、ターミネーター役はランス・ヘンリクセン。群衆に溶け込めるようなロボットが想定されていたから。それがアーノルド・シュワルツェネッガーに代わったことで、より機械的

フランケンシュタイン」は、初期のロボットもの。原作はメアリー・シェリーの1817年の小説。史上初の人工生命だ。当時見世物になっていた死体蘇生実験をふくらませたもの。電流を流すというロボット的なアイディアは、映画化の時に加えられた。

次がアシモフのロボット3原則。これはアシモフ自身が3原則を説明するビデオが映っている。そこで出てきたのが、「禁断の惑星」。ロビーは初めて出てきた「個性を持つロボット」。善人役なので、個性と斬新な形が求められた。

サイレント・ランニング」には、機械的なロボットが登場。しかし、これもきぐるみ。両足のない俳優が入っている。このために、人間に似ていないのに、人間っぽい微妙な動きができた。

このアイディアを受け継いだのが、「スター・ウォーズ」のR2-D2C-3PO機械的なきぐるみという点は同じ。「メトロポリス」のマリアからも想を得ている。C-3POのすり足のような動きは芸者の動きをまねたもの。

人間と機械を組み合わせるアイディアは、「600万ドルの男」で実現。これも「親しみやすいロボット」の発展型。

ロボコップ」では、これをさらに発展させて、頭の中身以外はロボットというもの。当初、ヴァーホーヴェンは監督を断ったが、妻の勧めでやることになった。まず主人公が殺されて復活するという宗教的なアイディアも入っている。あの変な動きも、撮影中に生まれたアイディア。ヴァーホーヴェンは、「人間性の喪失と回復」と言っている。

アーサー・C・クラークがビデオで登場してきて、「コンピュータはバカだ。今のところは」と言っている。ここで「2001年宇宙の旅」が登場。ボーマン役のケア・デュリアは存命で、ちゃんと出演。この映画はコンピュータに「人間のように」話させたという点でも画期的。何人もの候補から選ばれたのはダグラス・レイン。落ち着いた、人間的な深さのある声。

ブライアン・オールディスは、小説「スーパートーイ」で、「感情のプログラム」のアイディアを出した。これをキューブリックが試してうまく行かず、アイディアを引き継いだのが、スピルバーグA.I.」。デヴィッド役のH.J.オスメントも今は大人だ。子役で出たオスメントは過度にかわいすぎないところがよかった。

ブレードランナー」は、機械と人間の境界にいる「レプリカント」をネタにした。死から逃れようとして逃れられないロボットの最後のセリフは、演じたルトガー・ハウアーが自分で考えだした。

この延長にあるのが、TVシリーズギャラクティカ」。人工生命のサイロンギャラクティカに潜入して人間的な交流を結ぶ中で人間性について考える話。

ウィリアム・ギブスン本人が出てきて、「ニューロマンサー」の解説をしている。これは貴重品。この延長線上に、「マトリックス」が来る。


この第3回もおもしろかった。何より、今は伝説になっている人たちのビデオがどんどん出てくるのが貴重。