これでいいのか大阪府 大阪市

三宅敏行、山下敬三、橋村貴明編『日本の特別地域 特別編集 これでいいのか大阪府 大阪市』、マイクロマガジン社、2012


日本各地の町(市区)または県のネタを編集しているこの「地域批評」シリーズ。巻ごとに出来不出来の差が激しいということだが、この巻は、自分にはちょうどいい。なにしろ、大阪のことはほとんど知らないのだ。知っているのは、梅田となんば近辺のごく狭いエリアだけ。そもそも大阪市にいくつ区があるのか言えないし、環状線の駅名も半分くらいわからない。だからざっくりした話でも自分には大丈夫。

確かにそんなに深く突っ込んでいるわけではないが、大国町生野区福島区、天魔、京橋、大正区、玉造、堀江など、ほとんど行かないエリアの事情がちょっとだけわかったのはよかった。

この本であらためて気がついたのは、人口の多い大都市なのに、市内に大学はほとんどなし。行政主体の開発計画はほとんど失敗、財政は非常に悪く、都市計画の失敗デパートのようなところ。首都圏と張り合うのはムリでも、もうちょっと計画的にできないのか?

この本では、西成区はあいりん地区中心にディスられているくらいだが、この前、岸里玉出駅のあたりを歩いていて、商店街は完全にシャッター通りになり、建物は築年数40年以上は確実に行っているだろうと思われる老朽化したアパートだらけ。人は老人しかないようなところで、びっくりした。大阪の下町は、西成区に限らず、すごいことになっているところが多い。

しかも、悲惨な状態の町と、きれいな新築マンションが立ち並んでいる町がいきなり隣り合わせのようなことになっていて、本物のカオス。大阪市立大学医学部のすぐ裏が飛田新地だから…。

薄い本一冊で大阪市をわかったことになるのはムリなので、大阪はちょっと駅を降りて歩いてみるといろいろありすぎる町。京都なんかにいては大阪のことは全然わからない。もうちょっと突っ込んで書いてある本を探さなければ。