トラウマ日曜洋画劇場

皿井垂『トラウマ日曜洋画劇場』、彩図社、2013


映画の解説本。他の同種の本と違うところは、この本が、「1980年代の終わりまでの時期にテレビで流れていた洋画」という線にそって作品を選んでいること。

家庭用ビデオが普及し、レンタルビデオが一般的になってから、テレビの映画放送は急速に衰退したが、そうなる前には、映画はテレビが放送するコンテンツの中でも最重要のもののひとつで、一週間、どこかのチャンネルでどの曜日でもだいたい映画をやっていた。そういう時代の映画のおはなし。

各局の映画枠にそって映画を並べてあるので、「日曜洋画劇場」の章に入っている作品は、「脱出」(1972)、「地獄に落ちた勇者ども」(1969)、「シャーキーズ・マシーン」(1982)、「ダウンタウン物語」(1976)、「悪を呼ぶ少年」(1972)、「ひとりぼっちの青春」(1970)、「ジャイアンツ」(1956)、「カプリコン・1」(1977)、「まごころを君に」(1968)というもの。

一見して、バラバラ。メジャーな作品も、マイナーな作品も、ごった煮で詰め込まれていて、作品の出来もよかったり、悪かったりする。このテイストが、昔のテレビで流れていた映画のもので、どんな作品なのかよくわからない状態で、視聴者は毎週映画をたくさん見せられていた。なので、著者の選択基準は非常に納得がいく。

この本に載っている映画は、3分の1くらいは見ている。しかし残りは知らない。しかも、ソフト化されていない作品も混じっているので、レンタルチェーンでも手に入れることができない作品も多数。それを考えると、親が映画にチャンネルを合わせていてくれて本当によかった。

今のように、レンタルチェーンに見きれない数の映画が並んでしまうと、逆に見るものを選ばなければいけないので、非常に苦労する。昔は楽でよかったわ。