21世紀ラジオ読本

『21世紀ラジオ読本』洋泉社MOOK、2014


ラジオ番組のMOOK本。巻頭で取り上げているのは、「宮藤官九郎オールナイトニッポンGOLD」、「大竹まことゴールデンラジオ!」、「荻上チキSession-22」、「久保ミツロウ×能町みね子俺たちデトックス女子会Podcast」。これだけでもラジオを聴きこんでいる人が作っている本だとわかる。

「東京ポッド許可局」のパーソナリティー3人(マキタスポーツプチ鹿島サンキュータツオ)が、「ラジオパーソナリティーJAPAN」をサッカーになぞらえて11人ピックアップするという記事があって、そこで選ばれているのは、トップ2人=おぎやはぎ伊集院光、センター4人=笑福亭鶴光菊地成孔安住紳一郎高田文夫、バック4人=吉田照美吉永小百合三宅裕司宇多丸ゴールキーパー大沢悠里、というメンバー。これ以外に「ベンチ控え」が、山下達郎大瀧詠一毒蝮三太夫久米宏コサキン。ラジオで安定しておもしろいコンテンツを提供しているのはだいたいこのくらいの人たち。ラジオは週1の番組もあるが、ウィークデー5人やっている帯番組がたくさんあるのだから、たいへんだ。

今年の4月に「RADIKOプレミアム」が始まって、月額350円払えば、全国のラジオ放送がほぼ聞けることになった。ちょっと工夫すれば録音もとれる。これで、ラジオ番組におもしろいものがたくさんあり、それを聞くことが現実的に(オンタイムでラジオを聞くのは現実的ではないので)できるようになった。

ラジオは産業として成り立つのかどうかの瀬戸際なので、やれることはほとんどやっているのだろうが、この本を読んでも、ラジオ日本の番組には「スポンサーがついていない」ことが多く、それでアイドルをたくさん出していると書いている。ほかの自分が聞いているラジオ番組でも、コマーシャルが極端に少ないので、たいへんだということはわかる。

テレビと違って、ラジオは、何かをしながらかけていることができるし、テレビに比べてもコンテンツのおもしろさで負けてない。ことによると、番組を降ろされても、久保ミツロウ能町みね子のようにポッドキャスト配信で流すこともできる。コストをあまりかけずにできるのだ。

こんなにおもしろいコンテンツがつぶれてしまったらもったいないので、ラジオには長く続いてほしい。この本も時期を得たいい企画。NHKの番組も入れてくれるといいのに。