大東亜戦争 1

大東亜戦争」1、大島渚監督、1968


大島渚監督のドキュメンタリー。これは非常に貴重なもので、ほとんどが、戦中に撮影された日本側のニュースフィルムを編集したもの。ナレーションは、戸浦六宏小松方正が入れているが、東條首相の声などは当然「実物」である。

見たことがないフィルムがどんどん出てくるのだが、山本五十六戦死のニュースでは、生前の山本五十六本人が映っているし、遺骨が列車で東京に戻ってくるところでは、遺骨の入った箱、軍刀大勲位の勲章だけが運ばれている。国葬の葬列も、遺骨の箱と軍帽、軍服だけ。東條首相も参列。遺族らしき人たちの献花。東郷元帥の墓所にならんで埋葬される。

こっちは、戦争の結果は知っているので、当時のフィルムに字幕と最低限のナレーションがつけば、話は通っているのだ。前半の、日本が勝っていた最初の半年分のフィルムが見ていて痛々しい。

この番組が放送された1968年には、元ネタのニュース映画を見た人も多く生きていただろう。1968年にならなくても、素材は残っていたのだから誰かがこういうものを作っていてあたりまえだと思うのだが、大島渚以前に同じことをしようとした人はいなかったのだろうか。