やなせたかしの世界展

「~みんな大好きアンパンマンやなせたかしの世界展」、新見美術館


芸備線の終点まで行きたかったので、新見市に行ってきた。芸備線の終点は備中神代駅だが、ここには泊まるところはないので、芸備線の列車の執着点の新見まで行く。

ここは初めて来るところだが、ほんとうにさびれた町。庄原と近いものがあるが、たぶん庄原よりさびれている。それでも、駅の裏手の山に美術館があり、ちょっとだけ時間があったので、行ってきた。

こんなところの美術館に行く人いるのかと思ったが、閉館間際にしては10人ばかり人がいた。さすがにやなせたかしの威力。誰もいないと思ったのは、自分が鉄道の駅から歩いて行ったからで、ここに鉄道で行く人はいない。みんな車に決まっている。

中にあるのは、やなせたかしの画文集。ちょっと相田みつをっぽいところもあるが、そんなに教訓っぽくはない。やなせたかしは、「手のひらを太陽に」の歌詞を書いたことは知っていたが、それだけじゃなくて、詩はたくさん書いていた。「詩とメルヘン」の編集長もやっていた。詩など書こうという人はなんでもやっているもの。

画文集のほかは、アンパンマンの大きな絵。これはマンガ用の原画ではなく、最初から絵として描かれたもの。1mx2mくらいのけっこう大きいサイズ。マンガとはちょっと絵のトーンが違うので、おどろいた。とにかく描きまくっている。

アンパンマンのネームと原画もあった。ネームはけっこうていねいに描いている。昔、朝日新聞の日曜版にアンパンマンが連載されていて、よく読んでいた。これは短いストーリーだったが、味は同じ。なつかしい。

最後の部屋には、「やさしいライオン」(これは絵本)の、絵と文があった。これはライオンが、人に撃たれて死んでしまう話。アンパンマンはキャラが死なない話だが、こちらは救いようがない死が前に出た作品。

やなせたかしは、子供が引いてしまうくらい、いろいろな影のある作家。そこが味なんだろう。大人になっても、ファンが離れないのもわかる。

展覧会では、アンパンマンバイキンマンの初期の絵柄からの変化や、アンパンマンの背中の羽が小さくなっているところなども図示されていた。マンガ的、テレビ的に受け入れやすいようになっていったということ。